墨田区主催の区民税務相談に対応しました

2026年5月14日(木)、墨田区が主催する区民向け税務相談(すみだ区民相談室)に専門家(税理士)として参加しました。

会場は前回同様、墨田区役所1階「区民相談広場」です。

短い時間ではありますが、区内にお住まいの方の生活に密着したご相談を、対面で一件ずつお伺いしてきました。

目次

前回から続く「相続」へのご相談

前回に続き、今回もご相談の中心は相続税でした。お話を伺っていると、特定のテーマを意識して来られた方ばかりではなく、「とりあえず一度、専門家に話を聞いてみたかった」というご相談者が一定数いらっしゃるのが印象的です。漠然とした不安をどこから整理していけばよいのか、その入り口として区の相談窓口を選んでくださっていることを、毎回ありがたく感じます。

当日に寄せられたご相談のテーマを、守秘義務に配慮しつつ大きく整理すると次のとおりです。

  • 基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)の範囲内かどうか、申告が必要になるかの判断
  • 配偶者居住権を念頭に置いた、ご自宅の承継方法と二次相続まで見据えた設計
  • 公正証書遺言を前提とした遺留分の整理、および兄弟姉妹が取得する場合の2割加算
  • 令和6年改正後の生前贈与加算(最長7年)と、相続時精算課税の年110万円基礎控除の使い分け

「特例でゼロ円になる」ことと「申告が要らない」ことの違い

今回も繰り返しお伝えする場面が多かったのが、「税額がゼロになることと、申告が不要であることは別物」という論点です。

基礎控除以下で課税財産そのものが生じないケースであれば、相続税の申告は原則として必要ありません。

一方で、小規模宅地等の特例配偶者の税額軽減を適用した結果として税額がゼロになる場合は、これらが「申告」を適用要件としているため、ゼロ円でも申告書の提出が必須となります。

「ゼロなら出さなくていい」という認識のままだと、特例が適用されなかったものとして課税されるリスクがあるため、ここはお話の中で必ず確認するようにしています。

生前贈与の選択は「総額」と「期間」で考える

生前贈与に関するご相談も、改正の影響で論点が複雑になっています。令和6年1月以後の贈与から、暦年課税の生前贈与加算が段階的に7年まで延長され、フルに7年効くのは令和13年(2031年)以降の相続です。

一方、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設され、これは生前贈与加算の対象外という整理になりました。

その結果、「毎年少額をコツコツ贈与する前提では、改正後の精算課税が有利になり得る」という従来の常識を見直すべきケースが増えています。

ただし精算課税は一度選択すると暦年課税に戻れないため、贈与者ごとに、金額・期間・小規模宅地等の特例適用の可能性まで含めてシミュレーションするようお勧めしています。

「困ってから」ではなく「早い段階で」

今回の相談会でも、配偶者居住権や小規模宅地等の特例のように、相続発生後ではなく生前の段階から設計しておくことで活用の幅が広がる制度が多くありました。同居・家なき子・貸付3年縛りなど、要件は細かい一方、適用可否で数百万円〜数千万円単位の差が生じる場面も珍しくありません。

こうした制度は、書籍やインターネットだけで判断するには情報量が多く、かつご家族ごとに前提条件が異なります。「困ってからではなく早い段階で専門家に相談したい」というニーズが、地域の中で着実に広がっていることを、今回の相談会でも改めて感じました。

おわりに

墨田区の区民相談室は、区内にお住まいの方であればどなたでも無料でご利用いただけます。相続税に限らず、所得税・贈与税・事業承継など、税務全般にわたるご相談を受け付けていますので、「まずは一度、専門家に聞いてみたい」という方は、ぜひ区の案内をご確認のうえご利用ください。

当社としても、地域の身近な相談窓口として、引き続き専門家としての立場からお役に立てるよう努めてまいります。次回も区民の皆様にお会いできることを楽しみにしております。

すみだ区民相談室の詳細はこちら(墨田区公式サイト):
https://www.city.sumida.lg.jp/sisetu_info/kuyakusyo/kuminsoudansitu.html

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