不動産の家賃交渉でいくら下がるのか?交渉用シミュレーションエクセル付き

不動産家賃交渉でいくら下がる?

家賃は固定費の中でも最も大きな支出。

毎月の支払いを少しでも減らせたら…と感じたことはありませんか?

私自身、過去10年の間に3件以上の賃貸物件に住み替えてきましたが、納得できない条件だったり、いわゆる「サイレント値上げ」があった場合には、必ず家賃交渉を行ってきました。

また、過去に不動産業者の監査を担当した経験や、不動産業界出身の方々と仕事を共にしてきたこともあり、業界の内情にも一定の理解があります。
正直なところ、不動産業界には「情弱から金をむしり取る」「何も言ってこない相手はカモ」といった旧態依然とした商慣習が、一部に根強く残っていると感じています。

そんな中、実際に不動産仲介業者を通じて家賃交渉を行い、月額5,000円(契約期間で約13万円)の減額に成功しました。

この記事では、交渉の具体的な流れや、実際に使ったエクセルシート、さらには家賃がどの程度下がる可能性があるのかを、リアルな体験をもとにご紹介します。

結論、行動すれば家賃は下がります。

なお、本記事では更新時の家賃交渉に加え、初回契約時に注意すべきポイントなども参考情報としてご紹介します。

※不動産に係る詳細な税務相談を検討している方は、太田昌明税理士事務所までお問い合わせください。

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目次

家賃交渉って実際にできるの?

家賃交渉は可能であり、私も過去に家賃交渉の結果、家賃を下げられています。

不動産の家賃交渉というと、「言いにくい」「断られそう」と思うかもしれません。

しかし、参考書籍『家賃は今すぐ下げられる!』(フォレスト出版,2018,日向咲嗣著)にもあるように、賃貸契約の更新時や空室が目立つ時期など、交渉の余地は確実に存在します。

なお、本書はやや古い出版ではありますが、家賃交渉に関する基礎知識や実践的なポイントはいまでも十分通用する内容です。
私自身、賃貸契約の更新のたびに参考にさせていただいており、実用書として重宝しています。

本気で家賃を下げたいなら、必ず読むべき1冊です。

家賃交渉がしやすくなる条件は、以下のとおりです。

  • 更新時(2年ごと)
  • 空室率が高いエリア
  • 築年数が経過している物件
  • 近隣に安い競合物件がある場合

上記に当て嵌まる場合、積極的に家賃交渉をするのがおすすめです。

私は、主に更新タイミングを狙った交渉を実施し続けています。

実際にいくら下がった?交渉結果を公開

下記は、交渉前後の家賃の比較です。
※業者や物件が特定できないように、数値に多少の変更を入れています

  • 旧契約家賃:150,000円/月
  • 交渉後家賃:145,000円/月(5,000円ダウン)

契約単位(24ヶ月分の家賃+更新料)で考えると、これだけで125,000円の節約に成功。

たった一度の交渉でこれだけ変わるのです。

なお、初回契約時にはなりますが、「契約事務手数料」「仲介手数料」「消毒料」「●●ハウジングサービス」などは、「国交省ガイドライン」や「借地借家法」を根拠とし、違法性を指摘して支払いを拒否することができ、10万円程度の出費をカットしたこともあります。
(一部正当なものもありますが、殆ど情弱から貪るためいい加減なものを記載している業者が多いです)

ここのように、少しでも違和感を覚えた場合は、些細な疑問や不自然な点であっても、遠慮せずに徹底的に確認・解消することが大切です。

契約してからは全てが手遅れです。

交渉を有利に進めるために使ったエクセル

今回の交渉で役立ったのが、自作したシミュレーションのエクセルです。

このエクセルを用いることで、以下のような数値面が具体化されます。

  • 過去契約と大家の提示額の比較
  • 自分の要求する家賃額と大家の提示額との比較
  • 近隣の競合物件の賃料相場
  • 固定資産税を理由とした値上げの妥当性

こうした数値を提示することで、感情論ではなく「合理的な根拠」に基づいた交渉が可能になりました。

大家にとっても、いま退去されてしまえば、次の入居者が決まるまでの空室期間にどれだけの損失が出るかが明確になります。
だからこそ、「多少家賃を下げてでも住み続けてもらったほうが良い」と考える傾向が強くなるのです。

少し手間が掛かり面倒くさいですが、エクセルに記載のサイト等から、自分が住んでいる物件の価格であったり、近隣の家賃相場を調べることで、交渉が前進します。

また、いざ裁判所で賃料等調停を申し立てる場合にも、調査した情報やエクセル等で数値化した情報は、交渉材料として非常に役立ちます。
※「本気度を示す脅し」としても「本当に不当だと訴える」としても、エクセルを作る上で訴える根拠を自然と集められます。

民事調停の裁判所・調停委員は基本的に店子(借り手)の味方なので、大家(貸し手)を説得するような雰囲気になることが多いです。

そこで、キチンとした証拠や調査結果を示せれば、家賃を幾ばくか下げるのはそれほど難しくはありません。
※ただし、非常に人気が高い物件や、大家がちゃんとした根拠で計算した家賃の場合は、この限りではありません。

家賃交渉を成功させるためのポイント

私自身の体験から学んだ成功のコツは、以下のとおりです。

  1. 更新月の1~3か月前に動く
    余裕をもって交渉すれば、大家側も柔軟に対応しやすくなります。
  2. 相場情報を必ずチェック
    国土交通省の取引価格情報や、SUUMOなどのポータルで「競合物件」の賃料を調べましょう。
  3. 条件のトレードオフを考える
    「保証料ゼロ」「更新料免除」など、家賃以外の部分も交渉対象になります。
  4. 違法な手続きをしていたら、そこを責める
    相手は国土交通省からの宅地建物取引業免許の「業務停止処分」を恐れています。

不動産賃貸業者の質の低さ・悪質性について(注意喚起)

不動産賃貸業は意外にも参入障壁が低く、極端に言えばYouTuber感覚で誰でも始められるため、残念ながら質の低い業者や信頼性に欠ける業者も少なくありません。

不動産の営業は、基本的に勢いでグイグイ押してきて、人の良心に付け込んだ悪質なトーク術で借り手を嵌めてきます

中には、宅地建物取引士では無い者(宅地建物取引主任者証を提示しない者)が、宅建士の独占業務を勝手にやっているケースもあります。
※悪徳宅建士が「名義貸し」をしたり、無資格者が「なりすまし」をするケースもあります。

宅建士の独占業務
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名
  • 契約書面への記名・押印

そのため、基本的なスタンスとしては、不動産賃貸業者を信じないでください。

なお、私の場合、初回契約時の「契約事務手数料」や「仲介手数料(10%超の違法部分)」、「消毒料」「●●ハウジングサービス」などは、「国交省ガイドライン」や「借地借家法」を根拠とし、違法性を指摘して支払いを拒否することができました。
※これだけで10万円程度の節約です

上記のように、不動産賃貸業者は「あの手この手で金を毟り取ろう」としてきます。

そのため、借り手として仲介会社や大家に遠慮しすぎず、主張すべきことはしっかり伝える姿勢が大切です。

自分のペースを崩さず、むしろ「少し図々しいくらいがちょうど良い」と意識するくらいで構いません。

初回契約時等の値引き交渉の参考になる情報(youtube中心)

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